繊研新聞 1994年(平成6年)2月16日 水曜日 |
ウィメン |
人を育て、サポートするシステムを作るのが組織 |
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●フリーのディレクターとして十分認められていたのに、なぜ会社を。
「3年ほどフリーでやってみて、個人でこうした企画や制作をしていると、どうしても限界があるんですね。チーム編成も、その都度作るのですから、固定スタッフが育たないんです。ちきんとしたシステムで制作をしていきたい。それには人を育てるのは不可欠だと思ったのです。また、仕事をいただく企業に対して貢献するには会社設立しかない、と踏み切りました」
●会社にしてみて、メリットは。
「取引先からも、個人より会社に任すことができればと賛成されてましたし、それまで部分的な仕事だったのが、一括して任されるようにもなりました。社員への責任は重いわけですが、その分、人材育成ができる。自分のノウハウを惜しみなく渡して、仕事を任せ、悪いところはどんどん改善してもらう。自分がやってしまった方が早いぐらいのこともありますが、この手間を惜しんだら人は育ちません。課題はいろいろありますが、社員は格段にレベルアップしたと思いますし、意欲的です。仕事の幅も、外注スタッフの方々とのネットワークも広がってきましたね」
●確かに、スタッフの皆さんは電話対応1つとっても、しっかりしてますよね。
「細かいことは言わないのですが、核になる人たちがいれば、新人もそれを見て、きちんと行動し、礼儀や仕事のノウハウを身につけていくんです。こうした、悪循環と相対する”善循環”作りも、経営者の仕事だと思っています」
●会社を経営していく上で、なにかモットーとかはありますか。
「設立の際、『経営理念を明らかにすべきだ』という助言をいただいたのですが、3年がかりでスタッフとやっと作り上げました。理念が明確であれば、実現のための計画が立てられるわけです。常に目標と計画をもって、皆で元気に働く!−これがモットーでしょうか。今年は、これまで忙しさに追われて作れなかったシステムを完成させたいと考えています。生産工程管理にあたる業務の流れの無駄を省いていけば、20%はカットできると思っています。これは、社員も楽になり、仕事の流れが良くなるわけですから、クライアントの満足度につながると考えています」
●貴社が制作した「マップル情報版」は、旅行ガイドブックとしては後発で不利だったはずですが、どう差別化することで、部数を伸ばしたのですか。
「愛知や岐阜の街の、おしゃれな部分を大切に、インパクト重視で紙面づくりをしました。写真を多くし、現場主義で、情報をきめ細かく収集して、作り手の思いのこもったものを雑誌にしたい−という姿勢が評価されたようです」
●広告制作では今後、どういう方向を。
「広告もこれからは現場主義。バブルのころに幅をきかせたイメージ広告ではなく、商品そのものの特性を正確に表現することが必悪になってくるのでは?
物売りに徹した戦略や、戦術を立てた上で、手触りや質感が伝わるもの、もっと物に寄っていって消費者を魅(ひ)きつけることができる広告を作っていきたいですね」
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