産業観光をビジネスに
中電など名商とコンソーシアム 利用者・施設の組織設立
中部電力や産業遺産の画像処理を扱うエイ・ワークス(名古屋市)などは、名古屋商工会議所と組んで産業観光の共同コンソーシアムを設立した。利用者と施設の会員組織を立ち上げる計画。中部国際空港でも産学連携組織などが周辺のツアーを開始する予定で、産業観光をビジネス化しようという動きが広がっている。

「インダストリアルツアーCLUBサービス機構」を立ち上げたのは名商などのほか、中電シーティーアイ、東海テレビプロダクション(いずれも同市)。利用者と施設運営者を募り、有料のクラブ会員制度を作る計画。工場見学などを活用するビジネス客を中心とした利用者は情報や特典を得ることができ、施設側は単体では難しい国内外に向けた大規模な広告・宣伝を展開できる。

まずは中部地区の産業施設をデータベース化し、11月をめどにホームページを立ち上げる。将来的には特産品などをインターネット上で販売することも検討する。同コンソーシアムの取り組みは経済産業省の「サービス産業創出支援事業」に採択。2010年までに利用者の会員数50万人、施設運営の参加企業200社を目指す。

一方、中部空港でも空港会社や産業連携の知多ソフィア・ネットワークなどが中心となり、万博閉幕後から知多半島の産業観光施設を中心としたツアーを開催する。本来は空港の乗り継ぎ客向けだが、一般客の取り込みも狙う。国土交通省の事業では半年間の計画だが、採算重視の設定にして継続する方向で検討している。

中部地区では万博効果で産業観光施設の来場者が伸びているが、「事業として確立するにはモデル作りが必要」(須田寛・日本観光協会中部支部長)との見方も強く、ビジネス化の動きが観光産業発展のカギとなりそうだ。


フォーラム開催 関係者600人出席 愛知県・名商など主催

愛知県や名古屋商工会議所などが主催する「産業観光国際フォーラム」が6日、名古屋国際会議場(名古屋市)で開かれ、観光業界関係者など約600人が出席した。

基調講演した望月照彦多摩大学教授は「中部は基礎から先端に至るまで技術の集積地」と指摘した。国際産業遺産保存委員会(TICCIH)のスチュアート・スミス事務局長が英国の炭鉱遺跡を世界遺産の登録を目指す試みを紹介、「日本でも世界に向けたアピールが必要 」と指摘した。